新しい技術の洋上風力発電について

この地球上には様々なエネルギーとなる仕組みがありますが、中でも自然の風を利用した風力で発電する風力発電というものがあります。
風力発電は太陽の力を使用する太陽光発電などと違って、昼夜を問わずに発電ができるというメリットがありますが、ただし現在主流となっている陸上に設置してある風力発電では、回転する大きな羽根を回せるだけの風が確保できる場所が限られます。
太陽光発電とは異なって昼夜を問わず稼働できる点は良いのですが、風力発電所や発電するための装置を動かすには、それに伴う音などがどうしても出てしまう為、近隣に住んでいる住民などからの騒音などの問題が少なからずありました。
そこから注目され始めた方法に洋上風力発電があり、このやり方であれば近隣の苦情などが出ることもなく安心して風を確保できるという方法です。

洋上風力発電とは

洋上風力発電とは、海上に風力発電の設備を作って、海の上に設置された風車を風の力を利用して回転させて発電させるという仕組みです。
このやり方のメリットは大きく二つあって、まず陸上に比べてみても大きな風力を持続的に得ることが出来ることによって、安定して電力の供給が可能になる事です。
もう一つは海上である為に、騒音や万が一の人的被害の起こるリスクが低くて、設置場所に関しても確保しやすい点です。
このようなメリットがあることから、近年では風力発電での洋上化の動きが世界中で活発になってきています。
ヨーロッパの諸国では電力需要の20パーセントを再生可能なエネルギーで賄うという目標が掲げられていて、風力発電には力を入れていて年々増加傾向にあります。
特に急速に拡大している国にイギリスという国があります。

イギリスは国土面積が日本よりも狭い島国

イギリスは国土面積が日本よりも狭い島国で、アジアを除く先進国の中で最も人口密度が高い国で、陸上の風力発電を導入できるほどの、広大な土地がなかったことが洋上化につながったとされています。
四方を海に囲まれた島国であることから、長い海岸線を持っていて、必然的に経済水域が広くなっていて、設置する場所の確保はかなりたくさんあるので容易に行えます。
洋上風力発電は海洋上に発電装置を設置するために、陸上よりもしっかりとした基盤を設置しないといけないので、イギリスのような遠浅の海が広がっていると、海底にそのまま直接装置を設置できるので、波や風の影響にも耐えることが可能になってきます。
このように世界で最大の洋上風力による発電でもあるイギリスと、日本という国は国土面積が狭くて海岸線が長いという点で、共通していて非常に向いている方法なのです。

イギリスと日本の違い

しかし大きく違う点もあって、イギリスなどで多く使用されているタイプの着床式は、水深が50メートルよりも浅い海域に限られているもので、日本の海域でこの条件を満たしている場所は限られます。
水深の深い沖合であったとしても使用できる浮体式の方が日本にはあっているとされています。
浮体式とは、船舶のような浮体の構造物を建築して、海底に固定したアンカーに繋ぎ止めておくという方法で、水深50メートルよりも深いところでの利用が経済的に有利とされています。
この方法であれば、広い海域でも発電装置の設置が可能になり、着底式よりも、タービン設置にかかる費用が少なくて済むため、世界中から注目されている方法です。

福島沖に2011年に開始された福島沖に浮体式の洋上風力発電

福島の復興に向けて、福島沖に2011年に開始された福島沖に浮体式の洋上風力発電は、世界の最先端であるとされています。
事業に参加している民間の企業が10社あり大学なども積極的に関わっていて、その成果として洋上変電施設などもあります。
洋上風力発電において、風車のエネルギーを電力にして陸上に送る際に、送電の効率という問題があり、その発電した電流をその場で高圧化することによって、送電の大容量化とロスの低減につながる働きになります。
通常の変圧器では、コイルや鉄の芯が液体に満たされている必要があるにも関わらず波によって、もしもこれらが空気に露出することになると危険です。
その点に関しても、波で揺れたとしても液面がコイルの上にいくような、世界で初めての低動揺性強化技術というものが取り入れられました。
実用化に向けて取り組んでいる点についてはありますが、今後の大きな課題も残されています。

まとめ

洋上風力発電は陸上のものと比べてみても、2倍ほどの資本が必要とされていて、水上に設置する為には陸上よりも頑丈な作りにしないといけなくなってきます。
波や強風などの厳しい気象条件にさらされることが多いので、メンテナンスにも多くの費用がかかってしまうので、発電にかかるコストも高くなってしまいます。
更なる技術的な課題などをクリアする問題もあり、今後も日本が待っている国際競争力をつける為にも、造船技術などを参考にしながら独自の方法を考え出して、再生可能エネルギーの市場に実績を残せるように出来ることが何よりも大切になるでしょう。

INFLUX次世代電力環境資源洋上風力発電株式会社より

最終更新日 2025年5月15日 by bjackt